奥州南部糠部三十三観音十二番札所 隅の観音

新型コロナウイルスが全国で感染拡大していても季節は確実に巡ってきます。11月15日は全国的に「七五三」です。大きな神社はかきいれ時だと思いますが、ここ北国の八戸にも小さいながらもご利益があると評判の隅の観音(すみのかんのん)があります。南北朝時代からの由緒あるお堂で青森県南、岩手県北にかけての地域にまたがる奥州糠部三十三観音の十二番札所になっています。この観音様はもともと保育園の敷地内に鎮座されていたといわれていますが、根城南部家が遠野に移った時に現在の場所に移ったと伝わっています。この観音様は「商売繁盛」にご利益があるといわれ各方面からお参りに来る人が絶えないようです。長坂保育園の園歌にも登場するこの観音様は、節目節目で子ども達がお祈りする場所にもなっています。

入り口から続く石段を上ると古めかしいお堂が右手に鎮座しています。後ろには根城の象徴でもある銀杏の木が植えられており、あたり一面黄金色に染まっていました。食べておいしい銀杏も匂いをぷんぷん散らばせながらたくさん落ちていました。管理人さんから鍵をあけておいてもらったので、入り口を開け、中に入りました。普段は見ることのできないお堂の中ですが、今日だけは特別です。裸電球の明かりに照らされた観音様は格子戸の奥から子ども達を迎えてくれました。普段は騒がしい男の子たちもこの時ばかりは神妙に首を垂れていました。いつもと違う雰囲気に何かを感じていたようです。神仏混合のこのお堂はお参りする人により神式になったり仏式になったりするようです。我が園では伝統的に神式でお参りします。二礼二拝一礼です。これまでのお礼と明日行われるフットサル大会の健闘を祈りました。秋のライオンズ杯は準優勝だったので子ども達は特に力を入れてお祈りしていました。他力本願と言われるかもしれませんが、一生懸命練習した成果はきっと報われると思います。

普段は神様や仏様と関係がない子ども達もこの時ばかりは神妙な顔になっていました。七五三ではない子ども達も全員お参りしました。小さいころから何かわからないけど心に感じる気持ちは「畏怖」と言われます。子ども達の心に畏れる心や敬う心が育ってほしいと思います。私たち大人も少しだけ心が清くなった気持ちがしました。

大きく育て子ども達。          2020.11.13 根城・隅の観音にて